先日色々用事があってニューヨークとアトランタに行ってきたので、その報告をさせていただきたい。
この季節にNYに行くならオペラは絶対見たい、ということで調べたところプッチーニの「ラ・ボエム」が10/3にやっていることがわかり、これ観劇のために予定より1日早くNY入りすることに。オペラはNYに住んでから大ファンになり、でも住んでいる時は大してお金持っていなかったので、いつも立ち見のちょっと前の$30の席=出演者の顔を見るのが不可能な3階席を取っていた。で、今回はちょっと無理して、初めて1階の席を購入。また、オペラは見るなら古典ものの方が舞台も素晴らしいし、面白い。1階に座るなら、とちょっとオシャレなドレスを着て行ったら、若い娘さんとお婆さんらしき人が隣にいて、彼女も普段は着ないであろうドレスを着ていて可愛かった。内容自体は定番の悲劇、最後に主人公が亡くなるという展開なんだけど、主役の歌が素晴らしく、息を引き取るところでは私をはじめみんなが鼻噛んだり、ハンカチ目にしていた。

こういうパフォーマンスを見ていると、昨年だったか、パフォーマンスビザ「P1」を取得しないままアメリカに入国し、ライブを行おうとした外国人がいたのを思い出す。歌劇でパフォーマンスをする人、演奏している人たちはみんなアーティストであって、外国人である場合にはビザが必要。通常「P=パフォーマンスビザ」は実際にアメリカでの公演が予定されているアーティスト、自分がアーティストとしてかなり優れていることを証明して得られるビザが「O=アーティストビザ」なんだけど、イベント自体が本人の活動と違う場合(例えば、シンガーだけど、イベントのレポートを担当する)には、Pでは難しく、Oを取って入国することになる。でも、Pに比べてOは自分が優れているということを色々と証明しないといけないので、かなりの有名人でないと取得は難しい。それはPも同じで、パフォーマンスをする=取得できる、というわけでもなく、パフォーマンスするけれど、ビザは取れないからESTA入国、という道しかない場合も多く、なかなか難しいところ。
10/4はNYは雨でかなり寒い日だった。友人と会う予定があったので、ちょっと重ね着をして出かける。後段で触れるが、今回のNYに来た目的が、Thomas Easleyというアーティストに会うことだったので、ちょっと現代アートを見ておきたい、というのもあって、グッゲンハイムとホイットニーという二つの現代美術館を梯子することにした。
グッゲンハイムはセントラルパークのイーストサイドにある、カタツムリみたいな建物をぐるぐる周りなが見る美術館。高所恐怖症の友人と、三半規管がまだ元に戻ってない私が見に行くには最も相応しくないのでは、と後になって思った。この時のグルグルが、後で食事後具合が悪くなる原因だったのかもしれないけど、その時は気が付かず。作品もかなり前衛的なものが多く、今回も展示が訳わからない上、解説の札と文字が小さすぎて全然読めず、それはそれで逆に面白かった。

グッゲンハイム美術館を出ると、そのままメトロとバスを乗り換えてホイットニー美術館へ。以前は75丁目にあって、住んでいたアパートから近かったこともあり、よく行っていた。アメリカンポップアートが大好きだし、パワーをもらえたので。今は14丁目の埠頭の横に写ってしまったので、気合を入れないといけなくなってしまった。ロイ・リキテンシュタイン展が始まる直前だったのは残念だったけど、常設展示も含め好きな作品が多く、ドローイングから実際に絵になるまでの作品が展示されていてなかなか面白かった。それにしても、それぞれの入場料は$25で日本円に換算すると約4,000円。高すぎる。

ホイットニー美術館は、彫刻家でもあったガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニーが、まだ評価されていなかった同時代のアメリカ人作家の作品を買い、展示の場を与えて支えたことから始まった。ヨーロッパ美術が重んじられていた時代に、その支援はアメリカの美術が認められていく大きな後押しとなった。一方日本では、世界的に有名な画家の展覧会が頻繁に開かれて多くの人が集まる一方で、現代アートはどちらかというと投資の対象として語られがちだ。個人的に面白いアーティストを見つけて愛でる、という文化は、日本ではあまり根付いていないように思う。
ホイットニー美術館はミートパッキングエリアにあり、昔はやばいところでもあったんだけど、今はおしゃれなお店も多くて、この辺りとチェルシーのギャラリーを歩くと、NYのアートやカルチャーを堪能できると思う。今回は空腹と雨ですっかりめげたので、ハイラインを歩いてから友人が探してくれたメキシカンレストランでマルガリータやファヒータを堪能。
10/5の昼間はIndustriousのBryant Parkの会議室で仕事をし、その後Carodozo Law Schoolの同級生が勤務しているダウンタウンのブルックフィールドプレースへ。ここは巨大なショッピングモールで、昔は金融がメインだったダウンタウンに金融だけでなく、ファッションモールやレストランを含む大きい施設ができて、家族や観光客でも楽しめるようになったのは大きいと思う。友人は一回り年下のアルバニア人だが、相変わらず綺麗だったけど、昔は仕事終わったら遊びたいと思ってたけど、今はひたすら家に帰りたい、と言ってて笑った、私と同じ。東京来たら観光案内するよと言って、この日は軽く食事して別れた。

そして、10/6は、今回の目的である25年来の知り合いであるエンタテインメント弁護士のHenry Goldsteinと、彼の友人であるアーティストのThomas EasleyとマネージャーをしているThomasの奥さんのHemaに会いに、Pleasantvilleへ。Pleasantvilleは、White Plainsよりちょっと先にあり、Grand Central StationからHarem Lineに乗って50分くらいのところ。雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』の創業の地で、文学の町としての歴史があり、ニューヨークに近いことから多くの作家や編集者が暮らしている。週末のファーマーズマーケットも地域で人気があるらしい。
Thomas Easleyについては、6年前にHenryと別件でオンラインミーティングをしていた時に、後ろに飾ってあった絵をいいねえと褒めたところ、それがThomas Easley氏の作品であった。その後Agent契約をして日本での販売をお手伝いする、と約束したもののなかなか実現できず。今年春にThomas氏から3年ぶりくらいに連絡があり、「もしNYに来ることがあったらぜひ会いたい」と言われていたので、今回Atlantaに行くついでにNYによる事にしたものである。
彼らには日本のアート販売の現状を話をし、インターナショナルギャラリー一覧と、アートイベントについて説明。多才かつ画風の幅が広くてどんな絵でも描ける彼の絵を売るには、やはりアメリカで代理をしてくれている人に日本でも頼む方がいいかもしれないと、Hemaからの話があった。また、参考にしてもらうため、アメリカではそれほどではないけど、ラウル・デュフィは日本ではかなり知名度がある、多分、絵のタッチが日本人好みなのではという話もした。私も個人的に大好きで、プリントはいくつか持っている。
その後Henryとは、LAのオフィスの件と個人的なお願いをした。この件はもう少ししたら明らかにできると思う。
New Yorkを訪れたのは6年ぶり、Covid-19以降初めての訪問だった。昔からそうだったのか、それとも私がLAに慣れてしまったからなのか、街自体が24時間騒音から逃れられず、ホテルの部屋やIndustrious(レンタルオフィス)は会議室ですら狭く、綺麗とは言いがたく落ち着かない。安全と言われるメトロも乗車している人たちとは明らかに違う服装していたために緊張しながら乗っていた。以前はここにいるとinspireされて頑張ろうという気になれる、と思っていたのだが、今回は早くAtlantaに移動したくて仕方がなかった。一人の友人が勤務する会社では彼女がいた部署ごとインドに移す事になった、もう一人の友人が勤める銀行は本社をテキサスに移す事になった、という話を聞いていると、NYの高すぎる物価や人件費などは企業にとってはもう限界なんだろうなと思った。もちろんストリートが違えば静かで美しいタウンハウスがあったり、セントラルパークに行けば自然が楽しめたりはするものの、ここで生活していくのは大変だろうと思う。
私の場合、弁護士のライセンスがカリフォルニア州なので、ニューヨーク州で弁護士活動するには制約がある一方、カリフォルニア州には多くの日本人・日系人が住んでいるし、私の得意分野であるエンタメやITの会社も多く、活動の幅や可能性がある。そもそもニューヨーク州の弁護士資格があったとしても、NYに自分のLaw Firmを作ろうなんて考えなかったと思う。結果論ではあるが、カリフォルニア州のライセンスで良かった。用事も済んだので、翌日はAtlantaに移動。

