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東京都のスタートアッププラン- 外国人創業人材受入促進事業

内閣府の国家戦略特別区域外国人創業活動促進プランに基づいて日本の特区で外国人受け入れのための特別な待遇が用意されている。私はたまたまスリランカのエージェント(英語でコミュニケーションを取り、彼がクライアントと現地語でやりとりする)からこのスキームに基づいてクライアントの日本での創業を手伝って欲しいと言われ、一昨年から手伝いをするようになり、現在3社目に関わっている。通常の流れとどう違うのかやこのプランがふさわしい場合、向いてない場合などを解説してみようと思う。

東京都も他の特区も基本的には内閣府のプランをベースに事業を組まれているので、多分、スキーム自体は同じだと思うが、私は東京都しかやってないので、東京都の例を挙げて説明する。

日本で会社を設立し、本邦に在留しようとする外国人は、在留申請の「経営・管理」の資格をとる必要がある。経営・管理の資格を取るための最低条件は、1. 資本金が500万円以上であること、2. 日本において(居住する場所とは別、または居住する場所と同じ住所でも、完全独立したスペースとしての)事務所としてのスペースの確保ができていること、である。(これ以外にもあるが、詳細は、以前書いた「経営・管理の在留資格について」というブログを参照してほしい。)出入国管理庁の経営・管理ステータス申請の提出書類には、事務所の賃貸契約書か登記簿、会社の登記簿、法人番号、税務署に開業届を出した時の書類などが必要なので、そうなると、日本に来る前に会社が設立されていることが必要になる。経営・管理の許可在留期間には4ヶ月というものがあるが、これを目標として申請する際も、入管は経営・管理の許可要件を緩くしてくれるわけではないのと、在留申請は基本本人申請または会社が雇用するものが申請することになっているので、会社が存在しないのに雇用はできないわけで、結局、「在留の資格がないまま会社設立及び/又は在留申請のために日本に短期滞在の資格で来日する必要」が出てくる。

東京都のスキームを利用すると、東京都にビジネスプランを提出して、それが認められると、東京都の推薦状=創業活動確認証明書、がもらえる。プランや推薦状とともに「経営・管理」の資格申請をすると、6ヶ月の在留が認められる。この時の在留申請は行政書士が本人の代理ができる(詳細は後述する)。6ヶ月の間に、事務所の契約や会社設立、税務署への開業届などを提出し、在留が切れる前に、同資格の更新申請をすることができる。要は、会社設立をする前に在留の資格がもらえるので、一度の来日でビジネスのスタートアップができる、というわけである。

東京都に提出する書類の雛形は全て上記のリンクからダウンロードして使うことになるのだが、ビジネスプランの雛形を見てもらうとわかるのだが、これを全て埋めなければならない。設立の目的、本人の履歴、どのくらいで許可が出るかもわからないのに会社設立のところから月日も入れたスケジュール、半年間の資金計画など。ここまでのビジネスプランが事前に書けるなら、東京都の推薦状なしに、独自に会社設立後に在留申請しても余裕で通るはず。また、このプランの資金計画の表がエクセルでなくワードなので自分で計算して手入力、なんとかして欲しいと1年前から言い続けているのだが、今も変わる気配がない、とほほである。

b. 言語の問題

東京都のリンクは日英語両方あり、英語のリンクが日本語と同じ順番と説明となっているので(余談だが出入国管理庁の在留申請・資格のリンクは、必要書類チェックシートが突然日本語になるの早く改善して欲しい)日本語が全くわからない外国人にとっては親切である。が、提出書類は全て日本語で、英語の書類には日本語翻訳をつけないといけないし、提出後のプランその他への質問は日本語なので、結局は私が英語翻訳をして外国人に説明するしかなく、説明するより自分で修正したほうがいい場合は自分で修正し、やりとり含めて私自身に膨大な時間がかかる羽目になっている。英語だけで最後まで進められるようにしてほしい。日本語の会話はある程度理解できても、漢字を含む日本語の読み書きができる外国人などそんなにいるわけない。

c. 実際のプロセスと、関わっている外部のプロについて

必要な書類が揃ったら赤坂のビジネスコンシェルジェというところに書類をメールで送り書類が整っているかなどのチェックを受け、そこでOKとなったら書類を印刷して赤坂に持参する(エコじゃないし、このoutdateな手続きのために外国人にわざわざ来日してもらったこともあると担当者から聞いて、それなら通常方式の方が早いじゃんと思ったが)。その書類が東京都に回って、ここでプランについて詳細なチェックがあり1ヶ月くらいかかる、というのが公式な説明。なのだが、実際にはビジネスコンシェルジェに所属する人たちがビジネスプランの中身にまで詳細にチェックしてくるし、修正依頼の基準が人によってバラバラで、前回は人によってこれ、修正して送ったらまた別の修正依頼がきて、私もエージェントも忙しいから修正依頼に即答なんてできないしで、現在進行中のプランは、東京都提出の最終OKが出るまでに3ヶ月もかかってしまったのである。

どうも書類のチェックシートが東京都から彼らに渡されているみたいなのだが、リンクの説明からすれば、それは主に書類の書き方のチェックであるべきだと思うのだが、プランの中身までに踏み込んだ発言も聞かれた。一度はチェックした担当に「競合分析を加えてくれ」と言われて唖然としたのだが、なぜなら、日本で設立した会社で中古品を買取って、それを母国の自社に流すというスキームなので、自社以外に、日本に他の競合などあるわけがないからである。また、東京都に書類が回ってからは、外部の人にビジネスプランを分析させているのだが、その人間から「日本の製品は高いので、それを輸出しても、現地での価格競争に負けるのでは?」という謎の指摘があり、思わず「なんで価格が高いと思うのか?」と逆質問してしまった。円安が続いていて、日本に安いものを買いに全世界から人が押し寄せている時代に、しかも中古(になると価格が大幅にダウンするのも常識)なのに、価格競争に負けるのではという質問の意味が全く不明。この人だけでなく、前回プロセスが進んだ段階で面接に来た外部の人間が外国人創業者にした質問の内容にも東南アジアの国々への偏見があるように思われ、私の方で後でフォローする必要があった。

外部の力を借りないと都の職員だけで事業を回せないことは理解できるのだが、外部の人を雇用する場合、そのクオリティに関してはもっとチェックして欲しい。

ここでは私が依頼を受けた場合に通常やっている「会社設立→在留申請→許認可」のプロセスを書いておく。私が海外の外国人からこの3つを依頼された場合、会社設立に関してはなるべく知り合いの日本人に代表取締役になってもらい(会社の口座を作るのに、外国人だと銀行から在留カード、住民票、マイナンバーカードを要求され、カードの取得までには2ヶ月以上かかるし、在留申請には日本にいる人がサインする必要があるため)、在留が取れた後に社長交代するなどの方法をお勧めしている。が、日本人がいなくても、定款認証の本人確認はサイン認証とし、会社設立のために資本金を日本に払い込むときには私の預かり金口座を使ってもらえば、本人が来日することなく会社設立をすることは可能である。そして、会社設立後にその外国人のための「経営・管理」の申請をするのだが、許可が出るまでには、最短で3週間、通常は4,5ヶ月かかる。ただ、滞在許可は最短でも1年取得可能。特区のスキームでは、会社設立する前に6ヶ月の在留許可が出るというのが売りなのだが、在留期間が6ヶ月だと、銀行が口座をつくらせてくれなかったり、ビジネス相手との契約ができなかったりで、ビジネスがスムーズに進まないことが多いのである。

通常の流れだと、前述の通り、日本人が代表取締役や労働者として絡んでない場合には、申請時に日本に来てもらって、申請書にサインをしてもらい、日本滞在をしている間に申請をしにいかなければならない(行政書士が申請だけでなく、本人代理をすることをこれを書いている時点で入管は良しとしていない)ので、在留許可が出る前に一度来日できる時間とお金は必要となる。東京都のスキームを利用すれば、この手間は省けるのであるが、チェックに時間がかかり、日本でビジネスを始める時期が遅れる可能性もあり、プランの提出のためには、私に対してFeeを払うわけで、その金額分で来日することも可能なので、通常の流れで行ったほうが早くて安い場合もあり得る。

特区の事業を利用するか、通常の流れで進めたほうがいいのかは、個別の判断が必要となる。日本でのスタートアップに興味がある方は、こちら宛に問い合わせをしてほしい。

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