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石橋法務行政書士事務所
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ハワイ往復のために必要な手続き- (2) 日本帰国後編

1. 日本帰国前の手続き@ホノルル

受験も終わり、さて日本に帰った時の準備でもするかと日本帰国2日前、5月頃にダウンロード→プリントアウトして目も通していなかった厚労省のサイト、日本帰国者向けの資料に目を通す(それにしても大事なところだけ囲めば良いのに、ほぼ全部の文章が黄色で囲ってあって、感じの悪いサイトだ)。そのときに一緒にプリントしておいた宣誓書によると、帰りの便に乗るには日本で認可されている方法で採取したPCR検査の陰性証明、帰国後2週間は自宅待機、帰国時に空港からは公共の交通機関は利用してはいけないとある。PCRはすでに知り合いのクリニックで予約をし(日本以外の国では検査だけなら無料だし、20分で結果が出るし、ホントに気軽に受けられる)フライトの1日前に検査することになっていたのだが、公共交通機関の使用禁止は読んでなくてその時初めて知り、慌てて帰国者向けのサービスはないのかと調べてみた。方法は三つ- 1. ホテル宿泊者向けの帰国者専用リムジンに乗る、2. 帰国者専用のハイヤーを予約する、3. 自分でレンタカーを運転するか、誰かに迎えに来てもらう。1を調べてみたら、なんと7/20-8/10まではリムジンは運行中止。多分オリンピックの影響だろう。リムジンなら4,000円位で済むのに、コロナの感染拡大している時期にオリンピックをやるのが非常識なだけでなく、こんな事にまで影響を及ぼしてくれて、全く迷惑な話である。羽田とはいえ、知人に来てもらうのは迷惑すぎで現実的ではないので、残るはハイヤーしかなく、サイトで探してよく聞く名前のタクシー会社にハイヤーを予約。家までは2万円。荷物があまりに重いのでどっちみちタクシーで帰るつもりだったが、ここでもまた余計な出費。取り急ぎ宣誓書に名前を記入して(到着前日位にUpdateしたらしく、結局空港で紙に全面的に書き直させられたが、表紙がついてない者はダメだと言われ、アップデイトしたのはそこだけ?であった)、翌日PCRの検査→20分後に陰性の結果が書かれた証明書(なぜ日本ではあれほど結果を出すのに時間がかかるのか?ワイキキの小さなクリニックで受診、検査は鼻ぐりぐり5秒で終わり)をゲットして帰国の途に着く。

2. ホノルル空港と搭乗

成田空港での時間のかかり方を考えてホノルル空港には搭乗3時間前に到着したが、ここでのチェックはPCRの陰性証明の確認だけで、時間が余りまくり。わずか8時間後には日本に到着するんだし、あまり人と接触しないで済むチェックインの場所でハワイ政府のProgramのように、陰性証明のサイトへのアップロード確認とか、ヘルスチェックをサイトで確認とか、やれる手続きはいくらでもあるはず。で、親切?なJALのアテンダントから「搭乗前のお時間に、このアプリをダウンロードしておいてください、無料Wi-Fiもあるし、そのほうが日本に着いてからやるより手続きが早いです」とチラシを渡される。そこには、「MySOS」「COCOA」「GoogleMap」をダウンロードせよとあるので、その通りにGoogleMap以外をDLして飛行機に乗る。

帰りのJAL便は、行きよりもっと空いていて、私の周りは1人で乗っている人ばかりであった。よってみんな静かで、もちろんマスク着用必須だし、喋ったときの唾液が空中を舞うこともない。ちょっと前の席に乗っていた白人のおじさんが咳をしていたし何となく清潔感を感じない人だったので、彼がトイレに入ってしばらくは移動を避け、あまり人が行かない時間を選んで、念の為そのおじさんが使ったのとは別のトイレを利用した。感染者が使用したトイレから感染しやすいのは有名な話。これ、後になって、やっておいて良かったと思っている。みんなが陰性証明を持って乗っているからといって安心してはいけないのだ。

3. 羽田での手続き

羽田に降りると、戻った瞬間から、私何か悪いことして強制送還されたんでしたっけ?と思うような扱いと面倒な手続きが待っていた。これから何をするのかの説明は全くないまま、囚人のように、羽田の通路を一方通行にしてぐるぐると色々なところに強制移動させられ、PCRの陰性証明確認、スマホに入れるアプリの確認、宣誓書の確認など、全ての手続きがバラバラ。抗原検査の容器をいろんな書類を触っているこちらの両手にいきなり手渡し、それを持って距離移動させられたので、移動の間に容器にウィルスが付着する可能性が高く、到着した場所で器具を消毒して良いかと聞くと、検査結果がわかりにくくなるからそのままの方が良いと、よくわからん返答をもらう。この間、人との距離も保てないまま並ばされ、外人はまだ距離をとってくれるが、日本人には人との距離を取る=空気感染を防ぐ、という意識がほぼないので、近づいて来た瞬間に逃げるのが大変。ハワイのクリニックで約2万円でゲットしたPCRの陰性証明書を、勝手に回収するのも理解できない。誓約書には、陰性証明書を提出とあるが、コピーでもスキャンでもすればいいのに、個人情報を含み、こちらが自腹で獲得した証明書を奪い取る権利がどこにあるのか理解できない。

アプリインストール確認の場所では、衝立もなく中国人らしき担当者が30センチ内の距離に寄ってきて確認しようとするので、「不特定多数と接触しているあなたに近寄って来られると感染の危険があるから離れてくれ」と私が言わねばならない始末。東京では毎日3〜4,000人のコロナ感染者が出ている(その当時)というのに、多分、空気感染防止のために距離を保つ、といった指導なんて何も受けてないんだろう。中国人で自分の母国語でないから近寄らないとコミュニケーションしにくいだろうし、日本語が不自然で私はよくわからず、無駄に時間がかかる。現状中国人が日本と中国を行き来できる状況ではないのに、なぜあの場所に中国人が多かったのか謎。そこで座らされた椅子も、時々消毒しているが忙しいので消毒が間に合わないと言っていた。なんといい加減な。説明書があるのに、アプリイントールの確認や使い方なんて、人からいちいち説明・確認される必要なんて全くない。

試験結果が出てハイヤーで空港を出るまでにかかった時間3時間、空気感染するかもしれない恐怖を何度も感じた。又、重たい荷物を下げて3時間も空港内をぐるぐる回らされて(動く歩道は使わせてもらえず、全部自分で歩かねばならない)、パソコンのタイプ打ちすぎでなった両手首の腱鞘炎が、治りかけていたのに完全復活してしまった(今も痛い)。搭乗前及びオンラインで事前に済む手続きがたくさんあるのに、紙ベースかつ人と接触する手続きを狭い空港でやる事自体、どう考えてもおかしい。早急に改善すべきではないのか?又、我々は単に用事があって渡航しただけで犯罪者ではないので、もう少し人としての尊厳を保てるような対応をすることはできないのだろうか?

4. 自宅待機時の義務

これもハワイで宣誓書を読み直すまであんまり真剣に考えていなかったのだが、日本に帰国した日の翌日から2週間は、あらかじめ登録した自宅やホテルなどで待機、人と接触しないようにする(猫や犬はいいらしい)、不要不急の外出はしない(必要だったり緊急なら外出して良いのである)、外出時は公共の交通機関を使わない(自家用車やレンタカー、カーシェアはいいわけである)、MySOSというアプリにプッシュ通知が届く度に現在地報告やかかってきたビデオ電話に出る必要がある。例の中国人の担当者は、翌日の午前11時に健康状態報告の通知が来るから、必ずやってくださいと断言してたけど、想像通り、そんな通知は来なかったし、以後も来ていない。健康状態の報告は37.5度以上の熱はあるか、同居者に具合の悪い人はいないか、という二つの質問に答える、簡単かつ意味のない(アプリに熱を測る機能つければいいのに)報告であるが、私は目覚めた時にやっていた。また、待機1日目の夕方までアプリに待機終了日が出て来なかったので、帰国から24時間位は登録手続きは完了してなかったんだと思うし、多分私のその日の行動は把握できてない。2日経っても終了日がアプリに出てこない場合は連絡しろとあったけど、何のためのアプリ?多分アプリを使用するのに人が情報入力・管理してるんだろうな。普段の許認可関連のやり取りもほぼ電話とファックスという、さすが官公庁の中で一番オンライン化が遅れている厚労省推薦のアプリである。

また、このアプリと同時にGoogle MapとCOCOAという感染者との接触確認をするアプリもインストールを強要されるが、2週間自宅待機して人と接触するなと言っているのに接触確認アプリをインストールするということは、その期間内に人と会っても構わないと言っているようなもの。待機後に陽性判明した場合にはGoogleMapの移動履歴を保健所に提出することが義務らしいが、これも外出して人と接触することを前提としているようなもので、自宅待機との整合性が取れない。現在毎日5,000人前後の感染確認されている東京には、大規模なPCR検査を実施しないため、実際にはその10倍の感染者がいると言われており、待機すべきはこの2週間で3回陰性結果を出している私ではなく、無症状のまま東京の街をウロウロしている感染者を相当含んでいる、東京都民の方である。むしろ私が見知らぬ人間から感染させられる危険を回避したいので、人との接触や混んだ電車なんてこちらからお断り。

5. 搭乗機での陽性者連絡

待機1日目の夜に「搭乗便における陽性者確認のお知らせ」というNo Reply=一方的な通告メールが来て、羽田の検査で搭乗便の搭乗者の中に陽性者が出たことを知る。濃厚接触者には連絡しますと書いてあったものの、その後何の連絡もないので、私は濃厚接触者の範疇に入らなかったんだろう。いまだに空気感染ではなく、濃厚接触者という範疇でものを考えているのもおかしいけど、羽田で受ける抗原検査の陽性者判定確率は55-90%とPCRに比べて低いし、搭乗前72時間の検査では陰性証明提出しないと搭乗できなかったはずなので、検査から搭乗までの最大2日の間に、あの感染者が少ないハワイで一体どうやって感染できたのかかなり不思議、ホントかね?私は前述した通り、搭乗しても怪しそうな人には近寄らないようにしていたし、出された食事を食べた次の瞬間にはN95規格相当のマスク着用していたし、ビジネスクラスに近い席=単独搭乗者がほとんど、を帰国前に選んで座っていたし、感染疑える人が使ったトイレはすぐに使用しなかったから感染しなかっただけなのかもしれない。それにしても返信できないメールを一方的に送ったまま、なんの追加情報も送ってこない厚労省の対応がかなり恐ろしい。感染して中等症状が出たとしてもどうせ病院のベッドの空きはなく、自宅待機から自宅療養という名の放置をするつもりだろうから、連絡くれても意味はないけど、だったら中途半端な情報送ってくるなと言いたい。ま、私は木下製作所のPCR検査キットも、イベルメクチンも自宅に備えているので、そのくらいで怖気付きませんけどね。

6. リモートによる監視

MySOSというアプリでは、健康報告以外に大体午前中と午後の計2回通知が来て、位置情報を送る。AIでの位置情報確認のためのビデオ通話は11時から16時位の間に来て、この3回のアクセスが終わると夕方から次の午前中まで、何の通知も来ない。たまに近所を散歩や買い物はするけど、大半自宅にいるにもかかわらず、家から位置情報を送ったときに何度か「登録された待機場所と違うところにいます、戻ってください」とか、「違反していますので連絡します」いう筋違いかつ命令口調な表示がこのへっぽこアプリで出てくるのが鬱陶しかった。へっぽこが私がいる位置を正確に把握できてないだけなのに、違うところにいる私が悪いと一方的に責める通知がくるのだ。また、位置を知らせろ、通話を開始する、という通知が来るのが日中のみなのは、アプリを人が管理している証拠だろう。お盆が近くになるにつれ、3回の通知がどんどん早くなり、最終日お盆の15日に朝の8時20分に来たのはびっくりした、お盆で日曜日のこんな時間起きてる人そんなにいるかね(私はたまたま4時半から起きてたけど)。いずれにしろ夜に通知を送らないなら夜のお仕事されている方は普通に勤務先での勤務が可能だし、パターンが待機者にわかってしまったら通知に意味はない。もしかすると、違反されてそれを指摘するのが面倒だから、違反させないためにわざとパターン化させていたとも考えられる。

ビデオ電話は人からとAIからと両方かかってくるとあったが、最終日までAIの一方的連絡のみで、人と話したことは結局期間中一度もなし。人から連絡があったら質問しようと思って待ち構えていたのに実現せず。AI通話はかかってきても無言なので、こっちも無言対応で良いとガイドブックにあったが、AIコールのビデオに向かって「搭乗機での陽性者の情報ちゃんとくれ」「1時間ごとに連絡が来ると、仕事で忙しいのに邪魔だからもっと間隔空けてくれ」「愛の不時着を見てる最中だから邪魔しないでくれ」とか1人で一方的に制限時間の30秒間クレーム入れるのが日課になった。通知後ビデオが作動しなかったり、スマホで電話中に来て気がつかなかったりで出られなかったことが何度かあったが、同日再着信はなし。多分一日1回の自動設定してるだけで、撮った映像、誰も確認してないんだろうな。そういえば、最終日の16:55に人からの着信らしきものがあったが、近所を散歩中で気がつかなかった。最終日の17時前に帳尻合わせるように突然電話かけてきてもそんなもの知らんがな。こっちは、通常メールとチャットとリモートミーティングで仕事し、スマホは置きっぱなしで電話なんて気がつかないのが普通で、いつかかってくるかわからん電話を確実にピックアップできるほど暇でもない。

7. 最後に

自宅待機の2週間を終え、アプリを消去し、強制されたプライバシー設定なども元に戻した。保健所も厚労省も、感染者激増で、陰性の結果を出して自宅待機している帰国者に構う時間はないんだろうけど、待機期間中、待機終了後にPCR検査受診の義務もなく、ただ放置してアプリを作動させているだけなら、待機自体に意味はないし、デルタ感染が広がっている国以外からの帰国者に対し、一律2週間待機を課す事の根拠はどこにあるのか判然としない。ちなみにアメリカのCDCの推奨待機期間は10日間である。水際感染対策の甘さを指摘され、ちゃんとやっていることの言い訳として、一番楽な方法=帰国者に対して厳しい措置、を取ったんだろうと想像される。

同じ便に乗っていた沖縄に住むアメリカ人の永住者は、娘のカレッジ入学準備のためにハワイ往復してきたが、羽田から沖縄に戻ることは禁止されている(なぜ空港で陰性結果出ているのに国内便や公共交通機関を使ってはいけないのか理解不能だ)ので、東京のホテルを一家で予約して2週間過ごすしかない、すごい出費だが我慢するしかない、違反して永住権を奪われたら困るから、と言っていた。確かにそういう脅し文句も宣誓書に書いてあったので、順守せざるを得ないんだろうなと思った。

国や都が無症状者を含む無料PCR検査や病院のベッド不足など支出を伴うコロナ対策を拡充しないまま、我々だけにこういう苦痛を強いるのはどう考えてもおかしい。ちなみに私は月に5万円近く健康保険料を払っているが、往復に必要だったPCR検査、PCR検査キット・イベルメクチンの購入、帰りのハイヤー代、全て自腹である。そして、自宅待機時に家に籠っている間、補助費用が出るわけでもなく、家にいる間の冷房代他の経費も自腹である。割に合わないことこの上ない。

私の場合、そもそも受験勉強で家に籠るのは慣れてたし、丁度お盆の時期でクライアントも結構休みを取っていたし、暑かったり台風で外に出たくなかったので、家の大掃除、冷蔵庫の残り物整理、普段見られなかった韓流ドラマの全エピソードや映画をHuluやNetflixで堪能したのでいいとしても、こんな囚人みたいな生活は2度と経験したくない。いくらハワイやEU各国がPCR陰性者やワクチン2度接種者に優遇措置=待機期間なし、を設けても、日本が今の状態から一歩も出なければ海外及び海外の人達とのビジネスができない。冷え切った経済を活性化するために、もっと現実的かつ効果的な方法をちゃんと考えてくれることを切に願う。

 

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