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石橋法務行政書士事務所

EUとアメリカの新法が与える音楽著作権への影響

先日JASRAC(日本音楽著作権協会)主催の国際シンポジウムに二年ぶりに行ってきた。エンタテインメントは自分の得意分野と銘打っていて、時々関係する契約書作成や在留申請はお引き受けしていたものの、ここ何年かはカリフォルニア州の弁護士試験のための勉強、昨年からは相続セミナーをハワイで開催していることもあって相続法や民事信託の研究と、音楽やエンタメの法制度については若干無沙汰気味であった。が、先日エンタメ関連のお仕事でありがたくも顧問のお話をいただき、記憶を取り戻すべくちょっと勉強がてら行ってみるかと、パテントサロンのセミナー一覧を見ていたところ、偶然見つけたのがこの国際シンポジウム。今にして思えば、「行かないとまずいよ」というお告げだったのかもしれない。ちなみに、今回のシンポジウム参加は、サイトからアプリのPeatixに飛んで応募、チケットはアプリのチケットをクリックして受付で見せるだけと本当に簡単。さすがDigital Ageのシンポジウムだけある。余談だが、行政書士会連合会の研修が、ファックスで応募、振込は郵便局のみ(ネットでの振込ができない)という、昭和のような面倒なプロセスを要求されるのとはえらい違いである。

JASRACは毎年一回、一般の方向けに大きめのシンポジウムをやっているが、今年のテーマは「Music Link 〜音楽創作を未来につなぐ〜」。タイトルだけ見ても、なにがテーマかよくわからなかったのだが、JASRACは今年創立80周年を迎え、またこの節目の年にCISAC(全世界の音楽著作権管理団体の集合体)の総会が35年ぶりに東京で行われたようで、そちらに参加された各団体の会長、理事長クラスがこのシンポジムのゲストとして参加されていた。で、タイトルだけでは不明だった今回のテーマの言わんとしていることが、モデレーターの鈴木貴歩さんの紹介で、やっと理解できたのである。アメリカでは昨年秋にMusic Modernization Actが満場一致で可決され、Digital Millenium Actから約20年ぶりに著作権法が改正された。StreamingやDigital Contentsの利用によってプロバイダー(プラットフォームと呼ぶべきか)アーティストへの適正配分についても法制化された。一方、EUでは、先日Directive on Copyright in the Digital Single Marketが可決された。今まで賛成派(アーティスト側)と反対派(GAFAなどのIT関連会社)に別れて散々議論されてきたものであるが、この規制による影響は、アーティストへの適正配分だけに留まらない。アメリカ、EUという世界でもメジャーな国々の音楽著作権に関する徴収や配分の考えた方が変わること、そして、Block Chainや、AIの技術は、アーティストおよび音楽書作権のデータのコレクション双方にも今後どんどん影響を与えていくこと、そのことについて各国の著作権団体はどういう対応を考えて、また実施しているのか、これが今回のテーマであった。著作権団体の代表の答えはもちろん、新たな権利や技術について考査、検討、一部実施中であるとの答えだた、そこは置いておいて、今回は、改正された米、EUのActについて、さわりだけ書いておこうと思う。

Music Modernization Act

詳細はこちらのCopyright Allianceのリリースがわかりやすい。以下が概要。

A) ストリーミング利用に関する使用許諾

ストリーミングによって音楽が使用された場合の使用許諾料が法的に決められ、Mechanical Licensing Collective (MLC)が徴収団体となる。

B) 音楽プロデューサーへの報酬の制度化

音楽的録音に参加した音楽プロデューサーとエンジニアには、当該録音物がネットおよび衛星ラジオで実演された場合に、許諾料が支払われる。

C) 1972年以前に創作された楽曲の制作者と実演家への支払い

デジタルサービスについて、1972年以前に創作および発表された作品は実演料に対する保護はなかったが、今回保護が条文化された。

私がCardozo Law Schoolに留学した2000年は、正にナップスターによるコンテンツシェアや、インターネットラジオが勃興していた頃。当時からインターネットラジオは、今までのラジオ放送で適用されていた一括支払い(ブランケット)ではなく、個別の著作権徴収であった。2001年、元FMラジオのプロデューサーから依頼され、ネットラジオの開局からその後五年ほど、暫定として決められた使用許諾料をSound Exchange(アメリカレコード協会の外郭団体で、音楽の実演料の徴収団体)に支払う業務に従事していたことが懐しい。Sound Exchangeは、MLCと別で、今後も徴収団体として実演料の徴収団体として継続するような文面であった。

Directive on Copyright in the Digital Single Market

詳細および正確なものはこちらのプレスリリース等をご覧いただくとして、簡単に訳すと、

A) デジタルおよび国をまたがる環境に置ける著作権の例外/限界への適応

データマイニング、オンラインでの教育活動や文化的遺産のオンライン上の保存や普及のための著作権の強制的例外の紹介

B) 創作的コンテンツに広汎なアクセスを確認するために使用許諾の実施を向上させること

商業化することを停止している作品の利用、広範囲の団体使用許諾の発行と、ビデオオンデマンドのプラットフォームによるフィルムのための権利のクリア

C) 著作権がより市場で活用されることの実施

報道出版物のオンラインでの使用のために、報道出版の新たな権利の紹介。報道出版に含まれる作家の作品は、新たな権利の元で、報道出版社の収入から収益を得る権利を獲得する。

こちらもMusic Modernization Act同様、アーティストへの適正な著作権料の配分が目玉、一つの目的ではある。が、色々な団体が反対していた理由として、Article 11の報道出版物のデジタル利用に関する保護、Article 13の保護コンテンツの利用に、自動フィルタリングを要求していることにある。これらは、ネットの中での自由な表現を帰省し、自動監視をプロバイダーに強いることも含まれている。

まとめ

私自身、Music Modernization Actは、英語のウェブサイトには可決されたことだけはあげてあったものの(こちら)、その中身について吟味することなく、又EU Directiveについては、GDPRだけ理解していれば大丈夫だとばかり思っていた。大反省である。上記に書いたことは、ほんの一部であり、EUの方は、今後参加国の著作権法が改正された段階で、各国に影響を与えるものとなる。今後の動向を、(今度こそ)見守り、またブログでも紹介していきたいと思う。

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