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石橋法務行政書士事務所

法律に関わる業務は誰に依頼すればいいのか

先日、他の行政書士では許可が通らないからと、ビッグイベントに登場する外国人の急ぎ・大量の申請取次案件を弁護士先生からご紹介頂いた。申請書を出した後に、前任の行政書士の間違った手続き、アドバイスが原因で会社と申請者が不法就労を疑われていたことなど次々と発覚、急遽聞き取り調査、材料準備、書面作成などを経て最初に依頼した日程で在留許可を入管から出していただいた。その業務完了のすぐ後に、元いた会社の先輩から、相続案件で親戚が依頼した弁護士が「相続は初めてなんです」と言って計算間違いその他の失態を繰り返したものの、うん百万の報酬を減額することなく取得して業務終了した、という話を聞いた。やれやれ、同じ士業としての信頼が揺らぐので、わからないならお断りするなり、他の先輩に聞くなりして、つつがなく業務を全うしてほしいものである。ただ、そうはいっても、わからなくても受注しないと生活に困るからと、お客さんの迷惑など知らぬ顔で受けてしまう専門家がいることも事実である。

以前シェアーズラボに書かせていただいた「英文での契約書作成が必要になったらどこに依頼する?」に多少共通する文言はあるが、申請取次、許認可、相続その他、法律に関わる業務を間違った専門家に相談して、残念な結果にならないよう多少でも助けになればと思い、依頼する際のチェックポイントについて書いてみようと思う。

1. キャリア年数やプロフィールをチェック

まず、開業から何年くらい経っているのかをチェックして欲しい。色々な案件をこなすうちに難しい案件も対応しているはずであるし、官公庁にも顔を覚えられていると、手続きもスムーズに行くはず。こなしてきた数だけの話ではなく、交渉能力や、イレギュラーな案件への対応能力はやはり新人とベテランでは違う。プロフィールもチェックして、専門家としてはまだ新人だが、依頼したい業務に関係する業務経験が前職までに長い場合は、それもプラスに働くはずである。新人でも、「わからないところは先輩に聞いてやります」と正直にいう専門家は信用しても良いかもしれない。先輩の専門家と連携して業務を全うできる可能性がある。ある分野に特化した(例えば ”「業務内容」ドットコム”みたいなウェブサイト)ホームページがあるからと言って、その専門家がその業務を依頼するのに適しているとは限らない。なぜなら、専門家向けの業務獲得ノウハウとして「仕事を取りたいならまだ他の専門家がやっていない分野に特化したサイトを作ること」をオススメする輩がいるからである。新人でその分野に全く経験ないままいきなり特化型ホームページを作った専門家を私は何人も知っている。そういう特化型のサイトでは大概キャリア年数や開業する前の学歴、職歴は明らかにされていない(=つまり未経験)ことも多いので、わかりやすいといえばわかりやすい。

また、その本人自身が経験がなくても、できると信じている→でもできない、場合もあるので要注意。プロフィールの中に、法律関連や法務部勤務の業務経験があるかもチェックしてもらいたい。なくても業務遂行能力はあるかもしれないが、法律に関わる業務、基本は法律である。根拠条文を見ずにノウハウだけ学んで仕事をしていると大体失敗する。以前、契約書作成を業務として全国津々浦々回って忙しい、とおっしゃる先生が講師を務める勉強会に参加したのだが、その契約書が悲惨と呼んでいいほど必要事項が網羅されてなく、習っている生徒側の先生達と唖然としたことがある。契約書の条文は、全て法律を根拠として作成し、法律を盾にクレームを入れられないように、全て条文でカバーしなければならないのであるが、それをご存知ないのだと思う。この先生をプロと信じて依頼しているクライアントと、その契約書の相手方との間でトラブルになった時のことを考えるだけで恐ろしい。

2. 一時金か、継続か

専門家にアドバイスを求める時に、それが真摯にあなたのためにしてくれているアドバイスかどうか?専門家の中には、そのアドバイスによって継続的に顧客との関係が築け、ずっと報酬が得られるかを優先で考える人がいる。例えば、節税の相談をしたきたお客に、「会社を設立して、利回りの良い物件を購入して、その物件を誰かに貸せばお得ですよ」と答える税理士がいたら、その個人のお客さんが会社を設立すれば顧問、決算書類作成の仕事が永年くるから、と考えてアドバイスしている可能性がある。子供達に平等に財産を分けたいんだけどと銀行に相続の相談をしたら、遺言や信託を作った方がいいと言われた場合(銀行はお金の専門家であって、相続業務の専門家ではない)。平等に分配するなら法定(法律であらかじめ決められた相続の配分)相続分と同じなので遺言も信託も必要ではないが、銀行を通して遺言や信託を作成すると100万単位の費用と、維持費を毎月取られるらしい(士業に頼んで遺言作って公正証書にしても、50万もかからない)。会社設立後の継続的顧問業務を取りたいがために、会社設立をタダで引き受けている税理士の話も聞いた。また、アメリカでは財産をもつ人が亡くなると、財産を相続するのにプロベート(Probate)という裁判所の検認手続きがあって、これが何年もかかるらしい。このプロベートに関われれば、弁護士は、何年もの間、多額の報酬を手にできるのである。家族信託を作成するとプロベイトの手続きを経る必要がないのだが、相続人から弁護士が相続について相談されれば、みんな信託法はよくわからないし、何年もプロベイトの手続きに関わる方が儲かるので、かなりの弁護士は、遺言(これはプロベートの手続きが必要)を薦めるらしい。こうしたアドバイスを真に受けてしまうと、必要もないお金を払ったり、結果的に継続してしまった顧問業務の契約破棄に苦労することになる。(ちなみに、行政書士の場合、法務顧問先以外は単発業務が多いので、みんなそれほど継続を気にしてアドバイスはしていないと思う。)

誰のことを中心に考えたアドバイスなのかを判断するのは難しいかもしれないが、専門家がいつもあなたのことだけを考えている訳ではないことの参考にしていただきたい。

3. ネットワークはあるか

前々項にも少し書いたが、その専門家がどのくらいのネットワークがあるかもチェックポイント。どのくらい同業の知り合いがいるか、他士業や他業種にも知り合いがいるかによって、依頼した業務がスムーズに進むかがわかる。特に行政書士の場合、よく司法書士と間違えられ、「何の専門ですか?』と聞かれるくらい業務が分かれている。風俗、建設、産廃、旅館、申請取次(在留申請)、会社設立、契約書作成、著作権業務、など行政書士ができる業務の中でもさらに専門性が求められるため、自分がやったことがない業務で、かつ困難と判断した場合は、他の書士と連携または紹介できるくらいのネットワークは必須と思う。これは弁護士、司法書士、税理士なども同様で、「あなたの専門は何ですか?』という質問をして、その専門を聞き出し、そうでないことの依頼にどう対応するかを見てみた方がいい。また、相続業務などは、各士業の連携(相続に関する税金の’計算=資産税に詳しい税理士、遺言作成の手伝い・協議書作成=行政書士、信託作成後の登記=司法書士、相続に関するトラブル=弁護士)が必須であるため、一人の専門家に依頼すれば他士業を紹介してくれてワンストップでことが済むかどうかは確認した方が良い。そういえばワンストップと言って、後ろには他の専門家がいないまま業務を引き受けて全て自分でやっていた専門家も知っているが・・・怪しいと思ったら、他専門家の名前や連絡先なども聞いた方が良いかもしれない。

4. まとめ

専門家に相談するのは、その業務に知識がないからであって、その専門家の適性を見極めるのは難しいかもしれない。が、専門家の適性判断も普通のビジネスと同じようにあいみつを取る=お金の話ではなく、複数の専門家に聞き取りをしてみて比較する、ことも必要ではないかと思う。

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