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民法 相続部分の改正 – 遺言は自筆か、公証すべきか

民法の相続法部分がこの夏に改正された。40年ぶりの大改正だそうである。物権債権の改正から施行までが三年以内なのに、こちらは公布から一番遅くて2年以内なので、今回改正部分の大部分が、それ以外の改正より早く実施になる可能性がある。施行まではきっとまだ間があるだろうから、後で理解すればいい(なんせ他にも把握しなければならない法改正が目白押しなので)と油断していたらびっくりである。

概要がよくまとまっているものをネットでわかる範囲で色々と見ていたら、政府広報オンラインが一番わかりやすかった、また、改正前に書かれたものであるが、大和総研のものが新旧比較の図と文章で、それぞれの項目をうまくまとめていて非常にわかりやすかったので、詳細はこちらをご覧いただきたい。

今回の改正は、民法と同様、明記がないためにその解釈で争いが起き、その先例を元に裁判所その他が解決していたものを実際の運用を元に明文化したものが多いと聞いているが、相続法部分も多分、趣旨は同じであろうと思う。配偶者短期および長期居住権(相続開始時に亡くなった方の持ち家に同居していた配偶者が一定期間、または亡くなるまで居住できる権利)や、特別寄与制度(亡くなった方の相続人でない親族が無償で療養看護など労務提供をしてご本人の財産の維持増加に特別寄与した場合に、相続開始後、相続人に対して金銭を請求できるもの)は、不公平是正をする改正だなと思う。また、遺留分制度に関する見直し(遺留分侵害について、金銭での支払いが可能)など、道理が通っていると感じた 。

ただ、自筆証書遺言の補完制度だけは、疑問符がつきすぎて、どうしてこうしたいのか、よく分からない。

自筆証書とは、遺言を残したいものが、本人の手書きで書いた遺言であって、公証人も、証人もいないで作成された者である。公証するためには、遺言者および相続人の戸籍や、財産の証明をする必要がある。自筆証書遺言は、作成時に、こうした第三者の目も通らず、遺言財産や相続人を証明するための書類も必須ではなく、本当に本人が書いたものかの確認が必要であり、家庭裁判所の検認をもって、初めて有効となるものである。遺言者(遺言を残したい者)が、特定の財産を特定の相続人に承継させたい場合は、今までは、その財産目録を全て手書きで書く必要があった。が、今回の改正で、この財産目録を別紙として添付する場合に限り、パソコンで作成した書面に、登記事項証明書や預金通帳のコピー添付で良いことになった。また、この自筆証書を法務局に持っていくと、原本保管、原本の写しを相続人の一人が要求した時は、相続人全員に連絡がいくそうである。公証役場で公証しても、遺言を公証したことを本人が相続人に連絡しなければ、相続人は気がつかない – もちろん、自筆証書の方も、相続人の一人がコピーを請求するためには、書いた本人が誰かに連絡をしておく必要はあるが。

この改正で感じるのは、法務省は、自筆遺言を公正証書遺言より優先させたいのだろうか、ということである。遺言を公証するということは、法務局とは別の、公証役場というところに行かなければならないのだが、今回のこの手続き、公証役場と法務局の役割がバッティングしているように思えて仕方ない。この公証役場の存在については、会社設立につきものの定款の認証手続きを簡略化=法務局で手続き一本化しようとして、公証人の大反対にあったというニュースは耳に新しい。公証役場の公証人は、検事、裁判官などが定年退職した後の、天下り先として存在していて、役場といっても公務員ではなく、その収入も役場ごとに管理されていると聞く。私個人は、法務局管轄の司法書士と違って、法務局のお役人には行政書士という資格を名乗ると大体冷たい対応をされるのだが、公証人は大体親切にしてくれる。又、海外のNotary Public (公証)と違って、文章の中身をチェックしてくれるので、色々と相談させていただいてお世話になっている。

話がそれたが、この法務局保管については、二年以内の施行となっているため、細部は改正される可能性もあるかもしれない。今後の動向に注目したい。

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