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石橋法務行政書士事務所

行政書士は食べていける職業か

行政書士は、国家資格ではあるものの、どうも業務が曖昧で、よく司法書士と間違えられるし、地位的には弁護士より明らかに低く見られる。また、行政書士の大半が年収300万円以下、廃業数もかなり多い職業である。深く考えもせず行政書士として独立してしまった私にとって、このテーマはいつも頭の中にある。だから、別のことを検索していても、他の行政書士がこのテーマで書いているのを見つけると思わず見てしまう。そんな私も、資格をとってから11年、観察や経験を基にした結論が以下である。

書士だけで食べているように見える人たちの実態

行政書士になりたての頃は、みんな独り立ちしているように見えてすごいなーと思っていたのだが、段々とみんながみんなそうではないという実態がわかってきた。以下がその観察結果。

1. 士業向けのサービスで食べている人たち

行政書士業で食べていくとは、お客様の許認可業務を引き受けたり、法律関係の書類作成の手助けをしたり、法律的なトラブルや問題の相談に乗った見返りとして、お客様からもらった報酬が生活の糧になっている人のことをいう。が、私は行政書士として成功しました、だからノウハウを教えますよ、と言って、書士向けのノウハウのセミナーや、もっと詳しいことを知りたい人の会員募集、許認可や書類作成などのキットを書士向けに販売している人たちがいる。私自身もこういう人たちが書いているブログを参考にさせていただいていて、つまり有料講習や会員募集に導引するための入り口ブログなのにその先には行かない失礼な読み手なので、悪口を言うつもりはさらさらない。でも、この人たちは、行政書士として食べていきたい人たちからお金をとることが行政書士業よりメインになっているように見受けられる。また、成功していますから、と世間に知らせることによって、お客様の導引にも繋げているように見られる。非常にたくましい人たちであるが、書士業と書士への人達向けのビジネスの収入割合がよくわからないので、羨ましがる必要もないのかなという印象。

2. 配偶者、副業など他の収入がメイン

行政書士は、東京では23区別に支部があり、その支部が頻繁に研修会を催し、大体研修後に懇親会なるものがくっついている。何もわからない新人の頃は、懇親会まで行っていろんな先輩たちに話を聞いた。そうすると、かなりの割合で、「奥様が一部上場で働いている」「子供が小さいが奥様が働いているから僕が子育てをしている」ような旦那様と、見るからに旦那様の収入メインの主婦がほとんどであった。それ以外だと「親と同居している」「妻の実家にマスオさんしている」であった。つまりは、世帯収入の中で、書士業の占める割合は大したことはなく、書士だけの収入で食べている人数がほとんどいなかった、または専業でやっている人たちの収入のほとんどが世の中の平均と比べても低かったのである。この実態を知らずに独立すると痛い目に合う。成功している人の割合は10%もいないのではないだろうか?

随分前のことになるが、書士会で色々と役職をやっていて専門分野で成功しているように見える先輩書士が、「私扶養の範囲になるように仕事しているの」と言っていて、ギョッとしたことがある。つまり彼女は年100万円(当時)しか書士として稼いでなく、そうすれば旦那様の扶養の範囲なので、税金優遇されるわけである。その年収は、そのころ副業として行政書士をしていた私の書士の収入よりかなり少ない金額だったので、つくづく見た目に騙されちゃいけないと思ったものである。

3. 「年商●●万円達成した」行政書士の実態

1と似ているのであるが、行政書士として年収3,000万円達成、とブログに書いたり、本を販売している書士がいる。それぐらい達成している可能性はあるが、その収入全部がその書士一人の懐に入っていることはないと思う。自分の経験から言って、月80万円位の収入が得られると、土日を使っても、一人でできる仕事量を超える(睡眠3,4時間で毎日仕事できる体力がある人は別)。補助者の方や他行政書士に手伝ってもらわないと、書士業務の性質から言って無理になる。だから、年収1,000万円は一人では稼げない。で、誰かに仕事をお願いすると、その人のために、仕事を増やす努力をしなければならなくなるので、営業や広告でますます忙しくなる。人一人にかかる経費と収入のバランスを考えながらひたすら走りづつける。でも当然計画通りに行かず、数字が落ち込む時もある。こうなると、書士業だけではなく、会社運営業務が加わり、常に数字とにらめっこである。仕事が順調で人を増やしていけば年商3,000万円も達成可能であるが、それは書士一人の手取り3,000万円では決してなく、楽な話でもない。

 書士業で食べていくためには?

では、純粋に書士業で食べていくためにはどうすればいいのだろうか?以下が私が考える、書士として生きていくために必要と思われるポイントである。

1. 得意分野を持っていること

行政書士になる前のキャリアで、書士業に繋がる分野があるなら、それを得意分野として前面に出せること。専業でやっていけるくらいの分野があれば理想だが、そこまで行かなくても、多少関係ある仕事の方が、間違いなくサービスが提供できる。得意分野がないなら、一つ専門にすべく徹底的に研究すること。先日薬事、医療機器関連を専門とされている世田谷の行政書士さんのセミナーに行ったが、その専門知識たるやすごかった。が、どうも書士になってから身につけたものらしく、大変な努力だったのではと思う。また、品川や新宿で風俗営業中心にやっている逞しい女性書士もいるが、努力して専門と名乗れるようになると、お客さんからの紹介、他行政書士からも仕事が回ってくるので、食べるには困らなくなるのである。

2. 時間とお金を惜しまないこと

士業は一応人から先生と呼ばれる仕事なので、街角でチラシを配ったり新聞にチラシを入れても、あまり効果ないどころか、逆に怪しいと思われるという可能性もある。どこに自分のターゲットクライアントがいるのかを考えてそのクライアントの嗜好を調査し、そこに的確な広告をすることが必要。知ってもらわなければ利用もしてもらえないので、広告及び市場調査費用は必須と考えるべき。また、ネットでの発信のためにブログ、記事を書くために時間を使い、そのための事前調査や本の購入も惜しまないこと。

色々な会合に顔を出して人と話をすることも必要なので、接待費もある程度は必要。が、行政書士の飲み会にいくのは、話は別。新人の頃、書士の懇親会で、年輩の書士先生から「石橋さんはこんなことができるのかね、じゃあ、その分野の仕事がきたら回すから」とよく言われたものだが、ただの一回も回ってきたことはない。むしろ、自分が不得意な分野を得意としている先生や仲間を見つけて、いざという時にケアをしてもらうネットワーク作りのために出席する、と考えた方が良い。

3. 頂いた仕事はありがたくお引き受けし、真摯に対応すること

専門分野、得意分野があったとしても、それ以外の分野の仕事も依頼があったらお引き受けして、金額の多寡、規模の大小に関わらず、真摯に対応すること。もし、得意分野ではなく、自信がない場合は、クライアントにその旨を伝え、その分野に秀でた先輩、友人行政書士と共同、または依頼してやってもらい、その分のお支払いをすればいいのである。業務の性質上、ご依頼は一般の方よりも紹介が多く、その方達との業務が継続したり、新規のクライアントが別のクライアントを紹介してくれることも多い。頂いた業務をちゃんとやり続ければ、次に繋がっていく。本当に助かりました、ありがとうございました、と言われることを励みに、明日も頑張ろうという気になれる。

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