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在留資格「技術・人文・国際」の要件厳格化について

2026年4月15日から技術・人文・国際業務(「技人国」と呼ぶ)の資格要件が厳しくなった。詳細はこちらをご覧いただきたい。この厳格化、一言で言うと「特定技能という新しい資格を作ったんだから、単純労働については、技人国ではなく、特定技能で入国・資格維持してください」と言うことなんだろうけど、そう簡単にはいかない現実がある。それを書いてみたい。

法務省→出入国管理庁の方針を端的に言えば、「専門職であって、日本人と同等かそれ以上の能力を持つ外国人を雇用するのが技人国、現場の業務は特定技能」。だから、技人国の要件を改めて厳しくし、この要件にはまらない外国人の採用は特定技能、となる。

技人国の資格で入国し、その資格で働いている人間にとって、特定技能は「格下げ」と思われているらしい。在留期間の上限や家族帯同不可と言う条件の違いも大きいと思うが、それ以前に心理的な抵抗が強いらしい。実際にクライアントが従業員に特定技能への移行を打診したら、じゃ、やめますと言ってグループで辞めてしまったらしい。

私が関連しているホテル業を例にとると、宿泊分野の特定技能の資格者がやるべき仕事はフロント対応、客室管理、レストランサービス、特には予約管理まで含む。大きい宿泊施設ならともかく、中小規模の施設は、外国人だけでいくつもの仕事をしながら施設を維持しなければならない。外国人の方が安いから、ではなくて、観光客が外国人なので、他言語での対応が求められるから雇用している。これのどこが単純作業なのだろうか?どう考えても専門職、技人国の業務である。実態と職能が乖離している。

特定技能1号の資格を取得するためには、技能実習生経験があるか、日本語の試験と分野別の技能評価試験の両方に合格しなければ申請資格が得られない。海外から来日しようとする人材については、技人国の方がハードルが遥かに低い。基本業務と関連する科目を修了した大卒以上の学歴がある場合、職歴が短くても構わないし、受験の必要がなかったからだ(今回の要件変更で、語学力が必要とされる仕事の場合には日本語の能力が必須にはなったが、今までは求められなかった)。

そして、一番問題だと思うのは、特定技能は、「日本人で埋められない業務を一時的に外国人に代わりにやってもらう」というコンセプトなので、求人人数を超えたら新規申請をストップして、申請しようとしても拒絶されること。先日外食業分野で受け入れ上限ということでストップしてしまった。飲食の分野は、外国人の雇用なしには持たないし、上限だからと本当にストップするとは思わず、唖然とした。今後、自動車整備やホテル部門も上限に近づく恐れがあるらしいのだが、技人国から特定技能へと誘導した挙句、結局は雇用できないという羽目に陥った企業は一体どうすればいいんだろうと思う。もっとも、特定技能2号の申請は可能であるものの、1号や技能実習という過程を経る必要があり、すぐに使える代替策ではない。

現場の悩みは当事務所が関わっているクライアントについてしかわからないが、知っている限りにおいては、下記のような状態である。

ホテル・旅館業では、前述した通り、フロント対応、外国人ゲストへの接客、インバウンド向けの企画業務、海外潜在観光客への営業、などをメインとして、一般的なホテルのメインテナンス業務やレストランでの接客なども行うのが普通。彼らのほとんどが技人国の資格で入国・就労しているのだが、今後は「これは技人国専門業務なのか、それとも単純接客又は飲食業なのか」という問いを正面から突きつけられる。業務内容の棚卸しと、専門業務の割合を客観的に示すようなデータ・書類が必要になってくる可能性がある。

日本の車やPC・スマートフォンなどは、そもそもの性能が良いのに加えて、リユース品でも丁寧に扱う国民性もあり、海外で日本中高製品の市場は広い。しかしながら、中古・リユースを整備または解体・再生して輸出するような中古品の輸出ビジネスは今後は厳しい。自動車整備は電気・工学の知識も必要とされるのであるが、整備自体は特定技能に自動車整備というものがあり、こちらへの誘導を求められる。だが、現場で解体・整備をしつつ、取引先との交渉やサポート、営業、書類の管理などを並行してやっているのが現実で、これを特定技能の枠に収めるのはおかしい。

以前技術の在留資格は人文・国際と別だったが、「人事部でIT関係をやっている労働者は両方の資格にまたがっている」というような状況になったために、3つ一括りになったのだ。同じように、特定技能か技人国か、の職種分けも難しいことは明らかである。制度自体の改訂を望む。

これは、特定技能か技人国かの議論とは離れるのだが、技人国の要件が不法就労を生んでいる、という意味でも、実際に入管にクレームを入れた一件としても書いておきたい。

再生可能エネルギーの建設・保守プロジェクトには、一定の技術とトレーニングを受け、語学もできる外国人技術者が海外から招かれて、一時的な作業に携わる。日本人では語学の問題でチームとして勤務が難しい。彼は特定の資格と技能を持った希少な専門技術者たちである。ところが、技人国の要件では「基本大学卒で、専門が職業と関連している」「海外の専門学校・高校卒業者は10年以上の経験」が求められる。現実的には、彼らのほとんどが高卒や専門学校卒で経験も10年未満であるため、技人国の要件を満たさない。結果として、こうした技術者は「短期滞在=観光かビジネス視察やミーティング、就労はだめ」で入国して1,2ヶ月のプロジェクトに関与するしかなく(又は業務内容を技人国寄り=技術者がデスクワークをする、又は、プロジェクトの管理者であると書いて技人国を取得する)、制度の外に置かれたままである。今後JESTA(ESTAの日本バージョン、入国前に入国目的などを書かせる)の導入により、観光と偽って入国後に就労すれば虚偽申請であるが、じゃあ、技術者たちが入国できない場合にはプロジェクトはどうするのか?国策としてグリーンエネルギーを推進しながら、そのインフラを支える技術者が適切な就労資格を得られないのはどう考えてもおかしい。

個人的には、他国と比べて賃金も高くない割にハイレベルの’おもてなし’的サービスを求められるような日本という国にわざわざきてくれた外国人に対して、このような雑な扱いはしてほしくないと思っている。

いずれにしろ、雇用主サイドは、技人国で入国していた従業員たちの職種・在留資格の適性については、今一度確認しておく必要がある。今後も技人国の在留資格でいけそうなのか、特定技能に移行させないといけないのかなど、見直しについてのご相談を承ります。お問い合わせフォームをご利用、又はお電話でご連絡ください。

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