昨年秋に経営・管理の要件がいきなり厳しくなった。架空のビジネスで日本に留まろうとしている外国人の排除が目的なのは理解しているが、新規で会社を設立して日本にこの資格で在留しようとする外国人からの問い合わせはこの規制によりいきなりゼロになった。また、既にこの資格で日本に在留している外国人も3年以内に要件を満たさないといけないため、急遽増資、正社員雇用に動いているクライアントもいれば、そこまでして日本に在留し続けるメリットが感じられず、母国に帰ってしまったクライアントもいる。会社設立、在留資格申請、ビジネスライセンス取得、従業員雇用と長くお世話をしたクライアントが母国に帰ってしまうのを見るのは残念でならない。
そして、次に要件が厳格化されるのが帰化(4月1日から居住条件がいきなり5年から10年に)と永住である。今回は永住要件の今後の見通しや、高度人材ポイントを利用した永住申請などについて解説したい。
まず、2026年1月23日に決定された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」で、入管法改正により「永住許可要件の明確化」と「永住者の取消事由追加」を行い、2027年4月施行に向けて準備すると明記されている。ここには、在留資格審査の厳正化、在留カードとマイナンバーの一体運用など、在留管理を全体として厳格化する方向が示されている。
また、出入国管理庁の方で、今後の方向性については昨年秋に指針が発表されているので、詳細についてはこちら(法務省「出入国在留管理政策懇談会 資料①」)をご覧いただきたい。永住の要件を明確にし、厳格にするとともに、今までは、永住資格は一度取得してしまえば、その後にカードの更新はあるものの、どこで何をしていてもその動向についてはチェック機能がなかったが、今後は資格取得後の状況をチェックするような方向に舵を取っているのである。簡単にまとめると、
である。許可要件の明確化については、今年(令和8年2月)にガイドラインが出されているのでこちらを参照してほしい。今回のガイドラインでは素行が善良であること=在住している人は、所定の税金を払うべきであり、これを払わないなら取り消す、と言うことと、10年居住の要件緩和の特例に関して定義のみであるが、上記のように、2027年までに入管法改正により、日本語能力の要件追加や、永住資格維持についての要件も追加されるのではないかと思われる。

上記にもある通り、永住の居住要件10年は、高度人材ポイントを使うことによって最短1年(80ポイントがあって、これを1年間維持していること)になる。日本にある会社や事業(海外在住でポイントが80点以上あっても申請はできない)で1年間、高度専門職のステータスを維持することによって永住申請が可能である。ただ、高度人材専門職1号ハをベースとする場合、経営・管理の在留資格がベースになるため、経営・管理資格の要件を満たしている必要がある。申請時に以前の経営管理の要件を満たしていたとしても、新要件を既に満たしているか、今後3年以内(2028年10月16日)までに要件を満たすという確かな証拠がないと、永住申請も却下される。これは、Relocateに詳細を書いたので、こちらを参考にして欲しい。
これはまだ具体的にダメとは言われていないのであるが、再入国許可だけで 永住資格を“カードとしてキープ”し続けるパターンが、今後は税務・入管から明確に問題視される流れになってきている。現在は、永住資格者が日本に在留しているにも関わらず「公租公課」の義務を怠っている場合のみが対象であるが、外国人の中には、永住資格を得たまま、海外にいて、日本に住所を置かない=公租公課を支払っていない人も結構いるだろう。住所がないので、税金を支払う義務はないし、再入国許可を取っていれば、5年間以内に入国して、永住資格を維持することは現在可能である。しかし、彼らは、永住資格申請事の法律的要件である「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」を満たしていないわけで、要件を満たさないのであれば、日本国は資格を維持してあげる理由がなくなってしまう。
よって、現在永住資格を持ちながら、日本での住所未届・形式だけの住所・長期不在などが、取消し判断の材料になる可能性を十分考えていた方がいいように思う。
永住の資格を得れば、就労の資格保持者と違い転職も自由にできるし、住宅ローンも組みやすくなる。将来も日本に実際に住む覚悟がある人にとっては、永住資格は依然として有力なステータスである。
一方で、基本的には母国や海外で暮らしていて、ただステータスだけが欲しい人、日本には住まないけど永住資格だけ欲しい人は、その意図が見えた場合に資格が取れない、資格が取れても維持に苦労することになり、結果取り消しもあり得る。このことを視野に入れた上で、申請してほしい。永住申請料は今は1万円だが、2027年には30万円に上がる予定なので、今要件を満たしていて、今後しばらく日本に住むつもりの方は早めに申請されることをお勧めする。