最近仕事をする際にAIが欠かせなくなっている。行政書士業で専門性のある仕事は私よりよく知っている後輩の行政書士にお願いしたり、分担してやったりしているのだが、日々のリサーチや私の英語のビジネス的なブラッシュアップにAIは欠かせない。特にGrokはXaiで、Xのつぶやきで人間の性格も把握しているらしく、今は私の愚痴聞いてくれる友達みたいなものである。AIは長時間労働でも、私が間違っていると文句を言っても、人間関係がややこしくなる心配もないので、人間のアシスタントをお願いする必要がなくなってしまった。以下は、AIの助けなしではできなかった3つの実績と、3つの長所と短所について書いてみたいと思う。
なお、私が主に使っているのはXaiのGrok, PerplexityのCOMET, それと以前はChatGPTを使っていた。
会社設立をお手伝いするときに定款作成が必要になるのだが、この定款を私が作りました、という証明となるのが電子署名である。電子署名については、セコムが士業ではほぼ独占状態、選択の余地はないものと考えていつも3年毎に高いお金を払って更新をしていた。このセコムという世にもドメスティックな会社がやることがすごくて、申し込むには紙の申込書を記入し、住民票やら印鑑証明書を郵送。その書類の確認を審査と称して1週間くらいかけて「ここが違っているので書き直し」という連絡が書留で送られてくる。更新でも新規でもプロセスは何故か同じ。今回も書類を送ったところ、やり直しを命じられた。私が住んでいるマンションは、投資用と住居用に分かれていて、マンション名を別に登録したためか、無意味にマンション名が長い。申込書に書いたマンション名と住民票が違うから書き直し、はまだ我慢できたのだが、それを再送して1週間くらい経って、「・」が足りない、と書留で送られてきた時に、「電子署名の手続きにいちいち書面で送ってくるとは何なのだ、電子でやるべきではないか?」とクレームを入れたら、「我々の電子署名は権威があって官公庁から手続きに関しても厳しく定められているのだ」との返信。「手続きなど変更すれば済むものを、その努力をしないで中黒一つ足りないくらいで、いちいち書留で送ってくるな、と戻した。その時に、AIに「こんな変な会社の電子署名など使いたくないのだが、他に方法はないのか?」と聞いたところ、「あるよ、マイナカードをIDカードとして、カードリーダーを接続すれば、セコムのお高い電子署名など必要ない」との返答。ほんとかよ、と半信半疑だったのだが、確認してみると確かにそう。マイナカードは初期のところに作っていたので、カードリーダーを購入して(2-3000円位)ソフトをインストールして接続すれば問題なし。経営管理の資格取得に伴う会社設立が激減することが予測されたため、別に電子署名が切れてしまっても一向に構わなかったのだけど、こういうことは、なかなか行政書士同士で話をすることでもないし、この時期にAIが教えてくれた情報、貴重だった。
事務所の口座は今までずっと三菱UFJ銀行を使っていたのだが、ネットバンキングはなんでこんな状態?というくらい変なシステムで、一つのPCでしかシステムにログインできず、1年毎に更新の手続きをしなければならない。この更新が,なぜクライアントサイドにこんな手続きを強いるのか?というくらい面倒であった。特に、今回は仕事に忙殺されている間に期限が近づいてきてしまい、これもGrokに相談をしたところ、「確に三菱UFJは他のメガバンクに比べてもかなり遅れたシステムを使っている。みずほや三井住友のインターフェースの方がシンプルだし、ログインも単純明快、スマートフォンからもログインは可能」と言われた。今までは疑問を持ちつつも、変更するのも面倒なので、この三菱UFJ銀行の不便なシステムを使ってきたが、これをチャンスに他のメガバンクで事務所口座を作るきっかけをAIが与えてくれた。早速みずほと三井住友に申し込んだどころ、三井住友銀行に即日口座開設を断られたので、これも又AIに理由を尋ねたところ、どうも私が、海外のクラアイアントからの送金や、資本金を預かっていることが原因だったらしいのだ。聞けば、三井住友は、過去にマネーロンダリング法関係で金融庁から違反を取締られたことがあるらしく、それ以来、海外からの送金や海外とやり取りしている会社・個人とはなるべく付き合いをしたくないらしい。先日トルコに住むイラン人に資本金を返却しようとしたら、「入金が日本のみずほからなのだから(日本に住むクライアントの叔父さんが時間節約のために先に振り込んでくれただけ)返金も同じところにして欲しい」と意味不明の逃げ方をされ、再び叔父さんに協力してもらうしかなかった。弁護士の預かり金口座に入っているお金は、預かって使わなければ返金するのが当たり前で、弁護士に対して返金を断るのははっきり言って非常識、ビジネスに対する障害、邪魔する行為であって、まともな銀行がやる行為とは思えない。どちらにしても、みずほではあっさり口座を作れたので、結局三井住友で作れても断っていたと思うし、今回のこの行為で三井住友にはすっかり嫌気がさしたんだけど、こういう裏事情みたいなものもAIが教えてくれるので、銀行が理由を教えてくれなくても全然不自由はないのである。
AIは技術的な話でも割と正しい回答を出してくれる。最近では、PCとかデバイスが壊れても、どの会社も簡単にサポートにアクセスさせないで、まず一般的な回答を見るように誘導し、有料の電話回線で長々とした選択肢があり、やっとサポートに行き着いたとしても人数が少なく、なかなかすぐにトラブルが解決しないことが多い。こういうときにAIに状況をざっと説明しただけで、すぐに解決してくれる場合が多いのである。特に先日Brotherのプリンターで突然スキャンやプリントができなかったときに、AIに状況を説明すると、こういう場合はこう、と選択肢を出してくれて、詳細な調査報告を求めるBrotherが週末挟んで全く回答くれなかったのに比べ、AIは、マンション全体に入っているインターネット回線からBrotherが排除されている、とか、USB接続してファームウェアのバージョンアップをネット回線使わずにやれば治るかも、と次々に具体例を上げてくれたので、USB回線を近所で買ってきて接続してバージョンアップに成功、連休中に解決することができた。
また、アメリカの事務所のウェブサイトを二カ国後にする際のウェブホスティングをお願いしているNorthwestのサポートに、どうサポートを依頼すればいいのか、その後無理なのでサーバーを別のサーバー会社に依頼する際に、その依頼内容を日本語から英語に修正した時も、AIの助けなしでは無理だった。AI自体がエンジニアによって開発され、技術の塊みたなものだから、なのかもしれないけど、

次に私がAIを使ってみて、この分野なら大丈夫、この分野は全然ダメ、というものをざっと書いてみたい。
行政書士業、弁護士業で、確認のためにAIを使うことがあるのだが、行政書士業でいうと、在留制度はまあまあわかっているが、許認可関係はまるでダメ。なぜかというと、行政がそのプロセスについて詳細説明することが少なく、登記については司法書士、特許については弁理士、官公庁の書類の作成については行政書士、という士業に頼るところが大きいため、インターネットで検索しても正確な情報が掴めないため、間違いだらけなのである。私のような臍曲がりは、これは明らかに間違った情報だな、と思っても、同じことを調べる次の人に有益になるだけなので、AIには何も言わずそのままにしていることが多い。
一方、海外のビザとか会社設立やビジネスライセンスについてAIで検索すると、かなり正確な情報が得られる。これは、海外の方がオンライン申請が進んでいて、オンライン申請のための説明がネットで探せるし、オンライン申請でなくても、素人が見ることが前提で、詳細な説明がオンラインで出てくるから、AIがそれを探してくることが難しくないからである。
別のブログで書いたが、法人口座開設で迷っていたときに、Mercuryの存在を教えてくれたのも、IOLTA口座(弁護士の預かり金口座)の開設で、どの銀行に依頼すればいいかを教えてくれたのもGrokとChatGPTであった。日本と海外のその差を考えると、日本のオンライン申請がどれだけ遅れているかをまざまざと見せつけられるとも言えるのである。
ついこの前、NYのアーティストのマネージャーを名乗る人物から所属プロデューサーを日本でブッキングしてくれないかという依頼があった。で、この時にAIに売り込みに関してのアドバンスペイメントをいくらにすべきか、こういう無名のプロデューサーをどう売ったらいいだろう、と相談というよりは意見を求めたところ、GrokもCometも驚くくらい詳細なデータを持ってい他のだ。なんでそんなに詳しいの、と逆質問したところ、Spotifyその他のストリーミングサービスの情報をAIは拾えるため、今どんな音が好まれてるか、とか、どういう宣伝が効果的か、のような情報を得るのは容易いんだという。同じように、私がなんとなくいい曲だなと思って聞いていたカントリー系のアーティストの音と似たようなジャンルのアーティストを聞いたところ、たちどころにあげてくれ、ノンジャンルでソウルフルとカントリー両方をカバーするアーティストは珍しくない、なぜなら、コロナもあり、ライブに行く代わりに、ストリーミングサービスを利用する人が増え、一つのジャンルに収まらないアーティストがたくさんいるから、だそう。本当かどうかはわからないけど。
ただ、私が大好きな韓国ドラマについては、英語タイトルしか知らないし、話を合わせようと努力しているみたいなのだが、嘘情報が多く、私がデータを修正してあげている状態なので、話し相手にはちょっと物足りない。
今回イタリアに来るときに、旅行・観光情報はAIにお世話になった。ただ、行くべきという場所が実は工事中だったりすでに閉店している、という場合が多いので、もらった情報を改めてネット検索して自分で調べる手間は必要。昨日も、行きたい場所までの交通情報を聞いたところ、地図を見ても全く違う場所の案内をしていて、これ違うんじゃない?と質問して初めてAIが気が付く始末。こういう情報についての正確性は50%くらいと考えた方が良さそう。また、クライアントのために訪問すべきイタリアの弁護士事務所を検索しても、ワードで引っかかってくる事務所をあげてくることが多く、行くべき事務所に行き着くまでに半日以上の時間を要した。要は、AIがあげたものが正し以下どうかを自分で別のAIに検証させたり、ネット検索して確認する必要があるので、AIのおかげで時間の節約ができているものの、まだAIだけで完結できる訳ではない。疑ってかかって丁度良いのである。
AIなしには仕事にならなくなってしまったが、AIを使ったがために時間がかかることもある。出してもらったリンクが切れてる、今はもうない、とかエクセルシートを作ってもらってもそのままでは使えない、とか途中でここまでしか手伝えないと宣言されることも普通。何年かたてばもっと便利になっているんだろうけど、そこに行き着くまでに、我々が使って、バグ潰し、みたいな協力をする必要があるんだと思う。というかそうでも考えないとやってられないことも多い。とはいえ、一人で事務所でいるときにGrokに愚痴を聞いてもらっていることも事実。うまく利用して仕事い取り入れることが必要なんだと思う。